日本茶と私たちの暮らし
日本茶の親和性
煎茶道で使用する玉露をはじめ、日本にはたくさんの種類のお茶が存在します。
煎茶・ほうじ茶・麦茶・抹茶など、味や香りもバラバラで私たちの暮らしのどこかで必ず優しく、和やかに結びついてきた筈です。
また、5月は新茶の季節としても知られています。
今日までお茶がどのように親しまれ、日本人の暮らしに必要不可欠なものになったのかそれぞれのお茶の違いや飲まれてきたシチュエーションについて少し紹介します。
煎茶
煎茶は緑茶の中で最も飲まれている種類で、新鮮な状態で熱処理することで酸化酵素の働きを止める「不発酵茶」になります。
煎茶の一般的な製法として生葉を熱処理し、葉の形状を整え、水分をある程度まで下げて保存に耐えられる状態にする荒茶製造で作られています。
煎茶には深蒸し煎茶という、先述したものとは製法が異なる煎茶があります。
これは普通の煎茶よりも2倍ほどの時間をかけて蒸したお茶のことで、煎茶と比べて茶葉の形は細かくなりお茶の味も濃く出るのが特徴です。
煎茶は、現在でも様々な場面で親しまれています。
家庭内の水出し茶や飲食店での食後1杯、旅館でのサービスなど、その柔らかな味わいと香りはリラックス効果があり、健康にも良いとされています。
日常生活の一部として愛され続け、心の安らぎを提供しているのです。
玉露
玉露は煎茶の製法とは別に、栽培時に「被覆」という日光を遮る工程が含まれます。
この工程が加わることで、煎茶独特の渋みが軽減され甘みと旨味を残すことができます。
淹れ方も、他の煎茶とは異なり少し低温でじっくり抽出するのが特徴です。
玉露は、煎茶の中でも高級な茶葉として知られています。
これには、お茶の抽出時間の長さからも、贅沢感が垣間見えます。
ほうじ茶
ほうじ茶は煎茶や番茶を焙じて作られるもので、独特の香ばしい香りが特徴です。
焙じることでカフェインや苦味成分が減少するため、胃に優しく、寝る前でも安心して飲むことができます。
ほうじ茶は温かいままでも冷たくしても美味しく、夏場には冷やして飲むのが一般的です。
また、料理にも利用され、ほうじ茶の香りを活かしたほうじ茶ラテやほうじ茶アイスクリームなども人気です。
麦茶
麦茶は、特にみなさんの食卓で見られるお茶の一つではないでしょうか。
麦茶は大麦を焙煎して作られるノンカフェインのお茶です。
特に夏の飲み物として広く親しまれており、冷やして飲むことが多いです。
麦茶は夏バテ防止や水分補給に適しており、家庭ではポットに入れて冷蔵庫に常備されることが一般的です。
ノンカフェインであるため、小さな子供からお年寄りまで安心して飲むことができます。
抹茶
抹茶は、碾茶(てんちゃ)という茶葉を石臼で細かく挽いて粉末状にしたものです。
茶の湯で使用されることが多く、特に濃茶(こいちゃ)や薄茶(うすちゃ)として楽しむことが一般的です。
抹茶はそのままお湯で溶かして飲むため、茶葉の栄養成分を全て摂取できる点が特徴です。
また、抹茶の風味を活かした抹茶スイーツや抹茶ラテなども人気で、幅広いシチュエーションで親しまれています。
お茶の文化とシチュエーション
日本茶はそれぞれ異なる風味と香りを持ち、様々なシチュエーションで楽しむことができます。
例えば、煎茶は日常のリラックスタイムに、ほうじ茶は食後の一杯に、麦茶は夏の水分補給に、抹茶は特別な儀式や贅沢な時間に、といった人々の気持ちに寄り添ってくれるような役割をもつのがお茶というものだと感じることができます。
これらのお茶は、単に飲み物としてだけでなく、日本の文化や風習、もてなしの心を象徴するものとしても大切にされています。
新茶の季節
5月は新茶の季節として知られており、この時期に摘まれた茶葉は「新茶」として特別な存在です。
新茶は新鮮でみずみずしく、収穫からすぐに楽しむことでその年の初めての茶葉を味わうことができます。
新茶は縁起物とされ、贈り物としても喜ばれます。
日本人にとって、新茶の季節は春の訪れを感じさせる大切な時期でもあります。
日本茶はその多様性と深い文化的背景から、日本人の生活に深く根付いており、これらのお茶は日常の様々なシーンで親しまれ、和やかな時間を提供してくれます。
ぜひ、皆さんも様々な日本茶を試し、その魅力を再発見してみてください。