お盆玉は新しい文化なのか?
近年流行っている「お盆玉」という新しい文化があるようです。
「お年玉」には馴染みがありますが、「お盆玉?」とはあまり聞き馴染みがない方も多いのではないでしょうか?
お盆に小遣いをあげる…江戸から始まった藪入りが由来??
江戸時代、商家に住み込みの奉公人であった丁稚や女中たち、そしてお嫁さんも嫁ぎ先から実家に帰ることの出来る休日のことで、1月16日(藪入り)と7月16日(のちの藪入り)がその日に当たります。この休日のことを藪入りといい、田舎へ帰省したり、休みを満喫したりと実家のご家族や奉公人たちにとっても楽しみにしていました。
その時には、商家の主人たちは奉公人たちの着物や履物を新調したり、小遣いを渡し、年に数回の帰省できる日を奉公人たちのハレの日として考えていたものです。田舎のご両親たちに安心させる心遣いもあったのでしょうね。
藪入りとは田舎の例えのことで深い藪のある田舎に入るということから来ています。
なぜ1月16日と7月16日か?
1月15日は小正月が催され、小豆粥を振る舞ったり正月行事の締めともされる日であり、ひと段落着いた翌日の1月16日が藪入りとされていました。
また7月は13日から15日まで盆行事が行われているため、翌16日が後の藪入りということになり、田舎の実家で盆行事が行われました。(地域にもよる)
さて、この藪入りは日頃の感謝を込めて勤め人やお嫁さんに小遣いを渡すものであり、現在のお盆玉のように帰省した時に祖父母たちから孫に渡す小遣いとは少し意味合いが違います。
このお盆玉は平成22年頃から、ある印刷会社が「お盆玉」という名前でポチ袋の販売を開始し始め、平成26年から郵便局で取り扱う様になり全国的に知られるようになったようです。
このお盆玉もお年玉と同じように未成年の子供たちに渡すようで、お年玉とお盆玉のポチ袋の違いも季節の柄違いや盆や正月の所縁あるものが印刷されているかどうかの違いくらいです。
お盆行事におけるお盆玉の意義??
お盆玉の平均額は?と考えてしまいますが、ここで大切なことは金額どうこうではなくて、一番大切なことはお盆に先祖代々の墓がある田舎に帰り、ご先祖様たちに対して手を合わせるということです。
お年玉にしてもお盆玉にしても意味なく、「みんなが渡すから」「お盆玉がないと孫が喜ばないから」「祖父母のつとめ」のように考えるのではなく、お盆の本質を伝えていくことが大切なことではないでしょうか?
・盆迎えから盆送りの行事について
・ご実家の風習、地域のしきたりについて
・ご先祖様のお話しについて
・お盆の飾りや意味合いについて
・盆と彼岸の違いについて
と、伝えていきたいお話しはたくさんあります。それが本来の祖父母や親のつとめではないでしょうか。
「お盆玉は平均3000円~5000円?」「あげないとマナー違反」「表書きは…」とか、それが新しい風習となるのかもしれませんが、そこにあまりとらわれることなく、盆という日本独自の文化が失われてしまわないように本質に目を向けることが大切だと思います。
素敵なお盆玉の使い方
そこで、お孫さん向けのお盆玉も良いのですが、現代ならば会社の従業員や日頃お手伝いしてくれている人たちに対して、「これで帰省するときにはご両親さまに何かお土産でも買ってあげて!」とか、お盆玉にこだわらず会社などで取り扱っているモノでも渡してさしあげれば、田舎のご実家でも勤め先の会社の話題にもなり、喜ばれるのではないでしょうか?
このように、お盆玉にも様々な使い方が考えられますね。
これを機会に日本における大切な思想である自然崇拝や先祖崇拝について考え、親族が集まる盆期間に生死を超えた縁の繋がりや日常に感謝できる心についてご家族でお話しされてみてはいかがでしょうか?美味しいお茶でも飲みながら…。