茶道とバレエ 共通の学び
習い事のなかでもこの二つは中々足を踏み入れがたいような印象があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかしこれらには多くの共通点があり、恐らく他の領域にも通じていることがあるように思われます。
ここでの茶道とは、点前所作に無理、無駄、ムラのない合理性を追求している小笠原流煎茶道を例にとっています。
人々の暮らしの中に溶け込む煎茶道、女の子の習い事の上位に位置するバレエにはどのような共通点があるのでしょうか?
お稽古での姿勢
茶道、バレエどちらにおいてもその道の師が存在します。
その師匠のもとで、教えを十分に理解し、自分の技量に素直に向かい合うことが大切になります。
煎茶道の稽古において型はとても重要です。構えの姿勢、お点前においての動作、1つ1つの細かな決まりが存在し、全神経を集中させなければなりません。
これらは動作を美しくかつ効率的にする働きがあり、習う者はこれらの動作の習得が基本となります。
バレエにおいても型は存在します。パリオペラ座メソッドとワガノワメソッドがこれにあたります。また振付師の指導によってその型は変わる場合があるのです。
いかに動作を美しく魅せるかが重要であって、その型をもとに決まっている踊りを覚え音楽に合わせてダンサーは踊っています。
どちらも始めは大変で、覚えるだけで頭がいっぱいになります。
自分の次の動きしか考えられず、周りをみることができないのです。
さらに美しさという点において、両者とも正解はありません。
日々の練習によって動作を身体に染み込ませ、美しさを研究していかなくてはならないのです。
煎茶道には見取り稽古というものがあります。
他の人の所作などを拝見し学び取ることですが、この方法はバレエにも通じるところがあるのです。
バレエは全身を絶えず動かしています。止まっている時ですら、舞台上で休憩することはできません。
その中でどのように身体を使えばいいのか、1つ1つ説明はしてもらえず、自分自身で周囲の動きを見て学ばなければならないことが非常に多いのです。
このように煎茶道とバレエにおいて、その道を歩んでいくには型が大切なのです。
型を極めていく中でいかにうまく他の人の技を盗むことが出来るか。自分の感覚を研ぎ澄ませて、観察する力を身につけなければならないのです。
お茶会・舞台における姿勢
煎茶道ではお茶会、バレエでは公演や発表会と日々の練習を人前に披露する機会があります。
そこではどちらもお客様に喜んでもらうことが一番の目標であり、その目標に向かって一致団結して望んでいるのです。
このような場では普段違う教室でお稽古をしている人と接する機会があるため、煎茶道もバレエも年齢に制限なく、幅広い世代間の交流ができます。
いつもとは違う環境で如何にして周りの人たちと呼吸を合わせられるのか、相手を思いやり行動する力が試されるのです。
お茶会、舞台どちらも多くの人が携わって成立しています。
今自分がここに居られることが有難いことであると感じながら、1秒でも長く、一人でも多くの人に感動を届ける使命があると考えます。
このような場に参加したとき、時間が止まったような感覚になった人がいるのではないでしょうか?
あっという間に終わってしまうけれども、参加している時間は永遠に続くような錯覚を覚える時間。
煎茶道でもバレエでもこのようなひとときを感じてもらうために、心を尽くしてお点前や設え、踊りやセットを凝らしているのです。
生涯学習
煎茶道もバレエも長い歴史を持っています。
数えきれないほどの人がお茶会、舞台を繰り返し、人々を魅了してきました。
しかしその中のどれをとっても同じものはないのす。まさしく一期一会ですね。
これは時代の変遷とともに煎茶道もバレエもその形をかえてきたからではないでしょうか。
今時代はコロナ渦にあります。
活動が制限されるなかにおいても、煎茶道、バレエはその時代に合わせ変化しつつあります。
その変化に合わせて、煎茶道やバレエをするものは新たに学んでいかなければならないのです。
型という決まりごとがある中でも、変容するものは確かに存在し、美しさにおいて常に正解のない道だからこそ、その道は厳しく、楽しいということが実感できます。