お茶を通じて世界を知ること
皆さんは5月21日が「世界お茶の日」ということをご存じでしょうか。
世間には「○○の日」という記念日は色々ありますが、そのなかでも世界お茶の日は国連が定めた記念日です。2019年の第74回国連総会で、毎年5月21日を「世界お茶の日」とすることが決められました。
国連総会はこの国際デーを祝い、「世界各国のお茶に関する長い歴史と深い文化的・経済的意義を認識し、茶葉の農業発展と持続可能な生計などにおける重要性を知ってもらいたい。」としました。
開発途上国においては、お茶の生産や加工は何百万世帯もの主要な生計手段となっています。
国際連合食糧農業機関は、お茶の持続可能な生産・消費・貿易を促進し、極度の貧困の削減、飢餓の撲滅、自然資源の保護につながるよう、様々な働きかけを行っています。
この動きは世界共通の目標として取り組まれているSDGsとも繋がっています。
また、世界お茶の日は何よりもお茶の魅力を世界中で考える日にもなります。
お茶といえば緑茶や烏龍茶、紅茶などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
世界には、その土地ならではの気候や歴史、文化などの特徴が色濃く表れたお茶が数多く存在します。
例えば、中国の工芸茶。工芸茶は、中国でも古い歴史を持つ花茶の一種です。
種をポットに入れてお湯を注ぐとゆっくりと茶葉が開いていき、ポットの中で花が咲きます。
飲んでおいしい、見て美しい、と楽しみ方が豊かなお茶です。
そして、南アフリカ共和国のルイボスティー。
真っ赤な色が綺麗なルイボスティーは、ルイボスという植物から作られたお茶です。
このルイボスが育つには、乾燥した地域でなおかつ30度以上の温度差を必要とするため、南アフリカ共和国のケープタウンの北に広がるセダルバーグ山脈でのみ自生していません。
日本や他の地域ではストレートで飲むことがほとんどですが、南アフリカでは牛乳やヤギのミルクと砂糖を入れてミルクティーで飲むのが一般的とされています。
さらに、アルゼンチン・パラグアイ・ブラジル・ウルグアイなど南米を中心によく飲まれるマテ茶。
これらの南米を原産とするマテという植物で作られるお茶です。
マテ茶はビタミンやミネラルといった栄養素が豊富に含まれるため「飲むサラダ」とも呼ばれています。
南米の一部ではその土地の特徴ゆえに野菜の栽培が困難な地域もあるので、単なるお茶としてではなく栄養を取るために欠かせないものとされています。
このように世界視点でお茶をみてみると、色んな種類があり、それぞれ魅力も特徴も違うことが分かります。お茶を通じて世界を知り、そして理解し合うこと。
これは今の社会を生きる私たちに求められることなのかもしれません。
皆さんもこの機会にお茶を通じて世界と繋がってみてはいかがでしょうか。